英語彙の史的考察 −フランス借用語を中心に−

『英語彙の史的考察』−フランス借用語を中心に−
小林 永二 著(奈良大学名誉教授)
A5版 150p. 紙装丁
ISBN: 4-900448-28-1

英語の語彙構造は、他の欧州諸語のそれに比し、極めて複雑にして、多岐に亘るモザイク模様 ( mosaic ) を形成している。 英語の文法 ・形態変化面での極度に簡素化された ( simplified ) 姿とは、正に好対照を為すものと言えよう。モザイク模様とは、種々の色彩を持つガラス、タイルや木片などを嵌め込んで作られた絵画模様のことで、「寄せ木細工 」 とも言われる。 種々多様な、借入源 ( sources ) 及び語源 ( etymology ) を有し、更に、本来語 ( native words ) の中に組み込まれ、既に英語化 ( Anglicization ) された借用語もあれば、未だ、 外来要素 ( foreign elements ) を多分に保持した姿の借入語も、特に近年見受けられる。さて、英語彙のモザイク模様を形成する外来語の借入源なり語源として、最も重要なものは、 フランス語 ( French )、スカンジナビア語 ( Scandinavian ) 、それに西洋の2大古典語たるギリシア語 ( Greek )、とラテン語 ( Latin ) である。フランス語以外にも、ロマンス語 ( Romance ) 系ではイタリア語 ・ スペイン語 ・ ポルトガル語等からの借入も多い。スカンジナビア語 ( 北欧諸語 ) 以外にも、チュートン語 ( Teutonic ) 系からの借入は、特に低地ドイツ語 ( Low German : Dutch, Flemish, Frisian, Plattdeutsch etc. ) からのものが目立つ。 さて本書では、英語彙形成に最も多く寄与したと思われるフランス借用語 ( French loan words ) をその叙述の中心に据え、あと英語と同じ語系の属するチュートン語であるスカンジナビア語、特に、「 古期ノルド語 」 ( Old Norse ) と呼称される語からの借用語も取扱った。ただ、西洋古典語の重要借入源として、ギリシア語・ ラテン語 ( Greek - Latin ) があるわけだが、本書では、今回は紙数の関係もあり、あまり言及し得なかった。
英語史の主要な3つの時期 (OE期 ・ ME期・ Mod. E期 ) に亘り、本来語 ( native words ) と借入語 ( loan words ) との、或る時は相剋・ 葛藤が生じ、数多くの本来語が廃語 ( obsolete ) へと追いやられ、又他の時期では、平和的共存 ( peaceful coexistence ) が行われた。 その結果、英語には数多くの同義語 ( synonyms ) が生まれた。 借用語の衝撃 ( impact ) が与えた英語彙の興亡史こそが本書の核心部分 ( core ) であり、読者諸氏のそこより得る利益の大ならん事を筆者としては望まざるを得ない。本書読了後、読者は英語に対する従来からの固定観念が変化していることに気付き、驚きを新たにされることであろう。
型番 TO-22
販売価格 2,500円(税227円)
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