英米語比較概論 −表現様態を中心に−

『英米語比較概論』−表現様態を中心に−
小林 永二 著(奈良大学名誉教授)
A5版 134p. 紙装丁
ISBN: 4-900448-19-2

英米語の相異については、我が国でも従来それなりの関心が払われてきた。 明治以来の英学が文字通り、イギリス英語 (British English) 中心であった事実は、何人もこれを否めないところである。 併し、20世紀の初頭以来、それまでの世界的覇権国家であった英語に代わって、新たに米国が世界的な強国 ( world power ) として登場するに至った。 その頃から我が国に於いても、米語 ( American English ) への興味と関心が徐々にではあるが芽生え始めていた。 而して、この英語 ( BE ) から、米語 ( AE ) への重点の移行 ( shift ) を決定付けたものは、今大戦の終了後 ( 1945年以降 ) である。 堰を切って流れ込む濁流の如く、善し悪しは別にして、米語は戦後の日本の英語学界を席捲した。 やっと米語は我が国に於いて、その正当な市民権を得たのであった。 当然にも、米語研究の歴史は我が国に於いて未だ浅く、その研究書や参考資料も十分でない。 斯様な状況の下で、今回本書を刊行するに当り、筆者にもそれなりの苦労があった。 しかし、ここまでまとめ上げることが出来た。 つまり筆者としては英米語の相異を、その発音、文法、語彙の3分野に絞り、出来得る限り数多くの実例 ・ 用法を網羅し、説得力のある書物たらんことに心掛けた。 更に、従来、ともすれば軽視され勝ちであったアメリカ語法 ( Americanism ) を、むしろ重点的に採り上げ、その特徴を浮彫りにせんと試みた次第である。
本書は、序章 ( Prologue )、本編 ( Body )、終章 ( Epilogue ) の3部門より成り、序章で問題( 英米語の相異 ) の敷衍を行い、本章では上記の3分野( 発音 ・ 文法 ・ 語彙 ) に加えて、変種英語( Varieties English ) を採り上げ、そこで同時に英米語の歴史的発展の過程 ( process ) をも詳述した。 英米語の比較対照といったテーマ ( thema ) は、その間口も広く、奥行きは更に深い。本書が今後の当該テーマ研究に、些かなりとも資することが出来得れば、筆者の誠に幸甚とするところである。
最後に、米語研究の権威として知られる、 D.H. Menken には、 The American English ( 初版1919年 ) なる書があるが、それより70有余年を経て、今日、米語を取り巻く言語的環境にも多くの変化が見られる。その辺りは本書を読了されることで、最新の米語情報が入手可能となろう。アメリカ英語に関心を持つすべての人々にとって必読の書である。
型番 TO-19
販売価格 2,100円(税191円)
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