ある言語学者の回想

『ある言語学者の回想』
金 芳漢 著(ソウル大学名誉教授)岩谷 道夫 訳(法政大学教授)
A5版 252p. 紙装丁 美本
ISBN: 4-900448-45-1

本書は、現代韓国を代表する言語学者の人、金芳漢氏の、自身の言語学研究の歩みを中心に綴られた自叙伝である。金芳漢氏は1925年日本統治下の韓国全羅南道木浦で生まれ、光州の旧制中学に通った。氏の自叙伝は、その中学時代から始まる。以下次のような章のもとで述べられてゆく。
第1章 大望を抱いて:中学校時代。光州学生事件の起こった中学で学んでいた著者は肺を患う。二年間の休学の後、復学。日本の統治下の暗澹とした中学時代であったが、著者は英語の勉強に喜びを見出して耐える。召集令状が来て戦地に赴く準備をしている中、日本は敗戦し、韓国は解放の時を迎える。そしてその年、著者は大学に入学する。
第2章 混乱の時代:大学時代。ソウル大学校で英悟学、歴史比較言語学の中を彷徨する。そしてその大学在学中に朝鮮戦争が起きる。故郷へ避難し、困難の中、終戦を迎える。
第3章 暗中模索の時代。ソウル大学校に言語学の専任の職を得る。モンゴル語の勉強を始める。そしてハーバード大学に留学する。
第4章 東崇洞時代。ソウル大学校がソウル市の中心部の東崇洞、現在の大学路にあった時分の、若き言語研究者の充実した研究の日々が綴られる。
第5章 冠岳時代。ソウル大学校がソウル市の郊外、冠岳山の麓に移転した後の日々。
第6章 私の韓国語の系統に関する研究。自叙伝から一転して著者の韓国語研究史に焦点が向けられる。
第7章 定年退職以後。ソウル大学校を退官して、大病を経て今日に至るまでの日々。優れた言語学者の、個人の研究を中心とした回想録であるが、世界の言語学の潮流についての記述も多く、言語学研究史としての側面も持っている。また、回想の背景として、戦前戦中戦後の、韓国と日本の社会がさりげなく描かれ、貴重な歴史の証言の書でもある。
型番 TO-15
販売価格 2,300円(税209円)
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