愛の手紙 −キーツ−

『愛の手紙 −キーツ−』
谷 真嗣 編註(英知大学教授)
A5判 230p. 紙装丁 原文・日本語註釈付 英語版
ISBN: 4-900448-10-9

このキーツの 『 愛の手紙 』 は、大きく四部から成り立っている。第一部は、ファニーへの愛の詩六編を含んでいる。第二部は、1878年に H.B. Forman によって編纂された Fanny Brawne への 「 愛の手紙 」 39通から成り立っている。 しかしこの手紙はキーツがファニーへ宛てたもので、ファニーからの返信は一通も残されていない。 これだけでは、ファニーへのキーツの真の愛を理解することは出来ない。そのために第三部は、1936年 red edgcumbe によって編纂され出版された、ファニーから詩人の妹である。Fanny Keats への31通の手紙を加えてある。 この両者を読み併せることで、真のファニーの姿が浮かび上がってくると同時に、如何にファニーがキーツを深く愛していたかを伺い知ることが出来る。
最後の第四部は、如何にキーツが最後までファニーのことが気がかりであったかを知るために、キーツが A.C. Brown に宛てた3通の手紙を含んでいる。註は語学的なものは最小限にとどめ、文化史的なもの ・ 背景的なものを加味し、詩句や手紙の語句に関しては独断的にならないように出来るだけ客観的になるように努め、諸家の意見を紹介するようにした。特に六編の詩とキーツの『愛の手紙』に関しては詳しい註を施した。
その他に「キーツの略伝」、「キーツの年譜」、「キーツの文通者」、「愛の手紙」(これは Walsh の"Letter to Fanny Brawne"の要約)を加えてある。 この全体を読み通すことで、詩人としては然ることながら、一人の生きている人間、つまり 「 全ての息吹いている人間の情熱、燃える額、焦がれる舌 」 を持った生ける人間としてのキーツの姿を知ることが出来ると信じて止まない。 かって S.T. Coleridge は Shakespeare を評して「百万の心をもったシェイクスピア」と言った。M. Arnold はキーツを評して、「キーツはシェイクスピアと共にいる」と言った。 この二つを併せると、「百万の心を持ったキーツ」と言えるかも知れない。この僅かばかりの選集からでも、如何にキーツが天才であったかを伺い知ることが出来る。
型番 TO-12
販売価格 2,330円(税212円)
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